件の掛け算の順序問題であるが、これまで私は自他ともにブログ等では議論して来なかった。ツイッタでそれらしいことをつぶやくことはあっても、私自身のまとまった意見は明らかにはしていない。理由は三つある。(こう書いてから理由を三つ探すのが論説の常道である) 一つには議論に乗り遅れたというのが大きい。この話をネット上で初めて目にしたのは後で引用する「あらき」さんのブログだったと思う。その後kikulog等も定期的にチェックはしていたが、議論の中で私が感じるようなことは既に誰かが論述しており、コメントする機会を得なかった。何しろ発端とも言えるirobutsuさん vs NeXTSTEP2OSXさんのtogetterに目を通したのすら、「あらき」さんのブログにポインタが示されているにもかかわらず、ずいぶん経ってからのことなのである。

http://togetter.com/li/68853

二つ目は現在の議論の前提とは余りにずれた言説により悪戯に議論を混乱させるのを恐れたことである。ほとんどの論者が「掛け算を教える」「単位当たりの量」「乗数・被乗数」については異議を挟まず、若しくは前提条件として認めて議論をしているが、私はそこに既に疑問がある。

三つ目に、この問題については数学教育の専門家が、散々研究しているはずで、議論の蓄積と実験授業や追跡調査などのデータが存在するだろうと想像しており、恥をかくのはそういったものが公表されてからでもいいだろうと考えていたからである。(有り体に謂えば権威主義ということである。) しかしながら余りに時期を逸すると以前のモンティパイソン問題のようにドキュメントがお蔵入りしかねないし、現在の議論を見ていると論点が煮詰まっている、所謂ループしてしまっている感がある。そこでもう一回議論をそこまで戻すのかと非難されるのを覚悟で自説を認めておくことにする。(我ながら長い言い訳だこと。)

出題意図はですね,“「1つ分の大きさ」×「いくつ分」=「全体の大きさ」”というのを使って,式を立てる問題だということです.そして「5×3=15」と書いたらバツにするという意図も見えます.図にしてみました.http://d.hatena.ne.jp/takehikom/20101225/1293224299

おそらく教育の目標のひとつは、最終的に「中学を卒業する段階で負数も含めた四則演算の計算ができ、現実問題への応用ができること」にあるはずであり、その最終目標に近付くルートはひとつではあり得ないし、今回の積の演算をどう教えるかの話もその遠大なプロセスのごく一部にすぎない。 http://d.hatena.ne.jp/arakik10/20101115

義務教育の算数・数学の教育の最低限の目的は「中学を卒業する段階で負数も含めた四則演算に抽象化できる現実問題の問題解決ができること」であると考えている。大学で数学を教えるなんてことをしていると、どうしても数学の持つ一般化と抽象化の「おもしろさ」に触れてほしいと思うわけだが、社会生活をおくる多くの人々が必要とするのは具象である。

掛け算順序問題の議論を読んでいて思うのは、乗数・被乗数とか「1あたり」「いくつ分」といった「むこう」の前提にあまりに合わせすぎているのではないかということ。実生活の中に自然数の和や積に抽象化できる事柄があって、一旦抽象化してしまえばそれをどう書こうか、書くまいが関係ない。

分数の割り算云々の話はいつもでてくるけど、そういう訓練をしと発想を育てていればむづかしいことではないと思うのですが。RT @JosephYoiko: 英国だと「飛び級しませんか?」と言われますw。 @florestan854: 48×0.5って答えたら/□×□=24という問題

1皿に3個、5皿でいくつ。5円玉3枚でいくら。縦5cm横3cmの四角形の面積は。これらが全て五行三列にならべたおはじきの数を数えるのと同じだということが理解できるのが目標。後はどんな方法で勘定してもいいけど、覚えておくのが一番早い。それが九九の暗唱。

遠山啓氏については断片的にしか存じないが、「一般から特殊へ」「抽象から具象へ」がその主張だと理解している。問題はその一般化への取っ掛かりとして「一つあたり」を選択したことにあるのではないか。離散から稠密への発展が容易という理由は理解できるが、そこに拘りすぎてしまったのでは。

playground/算数乗法.txt · 最終更新: 2011/09/24 19:36 by kimi
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