Surface Science and Solid State Theory Laboratory

@surface


一年生ゼミ

Posted on 6月 11, 2009 by kimi

フレッシュマンセミナーと称して週に一回一年次生を集めてなんかやっている。教室に集めて電子顕微鏡で原子一個一個が見えてるビデオを見せながら「ナノテク」っぽい法螺話をしてみたり、6〜7人を研究室に呼んでミニ実験1)をしたりしている。後期はもう少し、ものづくりプロジェクトっぽいこともする2)。

学生さんの評判はまずまずのようだが、学生さんの評判はもう一つである。こないだまで高校生だったわけで、高校生のころっていうのは、「先生」みたいな「大人っていう人種」と自分たちは違う人種のようなつもりでいるってのは自分自身の体験としても理解している。でも大学生は大人側で、大人と「同じ人種としての行動規範」が要求されるし、要求されているってのがまだ理解できていないようだ。

これってどこで実感するんだったか自分でも忘れてしまったんだけど、一つにはバイト。特に客商売で中学生も高校生も社会人も客として来るようなヤツで、高校生の客から異人種を見るような視線で見られるって体験。家庭教師や塾講師でまさに「先生」として扱われ、もう「生徒」ではないんだという自覚。

それからサークル。これは大学教員の口から言ってはいけないんで、かつてはそうだったが、今は我々の指導の下そういうことが無くなったのでそれ自体はいいことなんだけどその副作用として大人を自覚する場が減ってるかも、という文脈で読んでもらわないといけないんだけど3)かつてはサークルなんかに入るとまずは有無をも言わさず、酒を飲まされた。これ自体はいいことではないし(未成年だし)勧められたことではないんだけど、記憶を無くすぐらいまで飲むという体験、そんなときに周りで何が起こるか、周りの者はどうするかという経験。飲めないお酒をどう断るかとか、そもそもそういう酒を飲まそうとする先輩や同輩とどう接するかとか、といった人付き合い。

あと、何といっても一人暮らし。生活の全てをひとりでやる。朝いくら寝てても誰にも怒られないかわりにその結果は全て自分の身に降りかかってくる。一人暮らしってのは 18歳の人間の自立には随分効果があると思う。

それに加えて大学の講義ではその板書量、進度、高校とは違うというのをこれでもかと見せつけた、見せつけられたものだ。これも「ああ、もう高校生じゃないんだ」という自覚を促すことに寄与していたはず。

現代では一年生の前期は逆にできるだけ高校の授業と同様の板書量や進度で講義をすることを心がけているし、この不況で自宅生も増えた。大学一年生に大人の自覚を与える要素がどんどん少なくなっているような気がする。

この商売をしていると、年々学生の学力が下がっている云々という話はよく出てくる。統計的に考えて当然ではあるし、私も戦術的にそういう話をすることはあるが、実はあんまりそうは思っていない。ゼミ生の飲み会で必ずといっていいほどこの話題がでるのだが、私はいつもこう応えている。4)

ゼミの4年生の学力は毎年そう変らへんなあ、でも年々確実にガキにはなってるな

まあ向こうは永遠に22歳なのに、こっちは年々歳とってるわけで、当たりまえちゃあ当たり前だわな。

1) うちではパソコンをバラックで組み立ててテスターで電圧を測ってみたり、USBスティックにインストールしておいたLinuxを立ち上げてみたりしている

2) らしい。そっちは担当ではないもんで

3) おっさん、ずいぶん予防線を張ったなあ。でもこれが現在の教育の現場いや現状なんだということもご理解下さい

4) ちなみに学生との飲み会での話が私にとって最も正直なものである。職場の飲み会での話はだいたい話半分から4分の1。会議での発言にいたっては10中8,9口から出任せ。

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