携帯電話の方式と周波数

自分自身の覚えも兼ねて、議論の前提を再確認する為に一文を認めておく。

携帯電話の方式や携帯電話で使用される周波数は国に依って様々であり、しかも呼び方も正式なものから俗称まで混在しているため、素人には不案内なことこの上ない。という私も決して玄人ではないのだけれど。定義が曖昧で決して正確な表現とは言えないが「世代」という言葉が単純でイメージし易いのでこの言葉を使おう。

「第一世代」というのはアナログ時代のケータイ電話であり、広く普及したのは「第二世代(2G)」からなので、我々が考慮するのは2Gからでよいだろう。2010年現在、日本で使用されているのはほぼ第三世代(3G)であるが、世界的には2Gもまだまだ現役で使われている。2Gも3Gもそれぞれに拡張仕様があり2.5Gだの3.5Gだの3.9Gだのと呼ばれることもあるが、これらも明確な定義があるわけではなくイメージで付けられた名称であるのでここではそれらをひっくるめて2G、3Gと表現することにする。

まず2Gについては「GSM」という世界標準方式とでもいうべき方式があり、日本と韓国以外の全世界に普及している。このGSMは2010年現在もなお使われ続けており、今後も相当長い期間使われ続けるだろうと予想されている。一方日本と韓国では「世界標準ではない2G」(ただし日韓で方式は異なる)が使われていたが、例えば2010年3月にソフトバンクモバイルが2Gの停波をしたのを始めとして順次サービスが終了されつつある。したがって、今後の議論にはGSMと3Gのことだけ考えておけばよい。

3Gについては大雑把に言って、W-CDMAというドコモ(docomo)やソフトバンクモバイル(SMB)が使っている方式と、auが使っているCDMA2000の二通りの方式が使われている。正確には中国の最大手がこれらとはまったく別の独自方式を採用しているが、他の通信事業者(オペレータとかキャリアと呼ばれる)を選択することで前述の3Gの方式を使う事もでき、今のところこのての議論の際考慮しなければならないほどの影響力はない。国もしくは通信事業者の数で圧倒的なシェアを持つのはW-CDMA方式で、2010年現在、世界の主要都市で2.1GHz帯を使うW-CDMA方式(UTMS2100)の携帯電話を利用できないところはない。しかしながら、CDMA2000も加入者数合衆国第一位のVerizon、日本第二位のau、韓国の主要キャリア全てで利用されており、加入者ベースではそれなりの勢力を持っている。

この方式の違いに加えて、使用される周波数帯域が国と通信事業者ごとに異なる。まずGSMではヨーロッパとアジア(除日韓)で使用されているのが900MHz帯と1800MHz帯。GSM900/1800などと表記されデュアルバンドなどとも呼ばれる。アメリカに行かない私にとってはこれで充分である。日本以外の端末メーカ各社から安価な機器が販売されており、通話と電話番号で送れる短いメール(SMS)だけの機能しか持たない端末なら100米ドル未満で手に入る。もちろんSIMロックなどはかかっておらず各事業者と契約してSIMカードを手に入れさえすれば使用可能になる。ヨーロッパ圏で所謂0ユーロ端末というのはこういうのにSIMロックがかかったものが多い。もともとが安価な端末であり、適当に契約で縛っておけば契約に違反するリスクの方が高いのでほとんど転売を気にする必要も無い。

これに北米の1900MHz帯を加えたGSM900/1800/1900というのがトリプルバンド。南米でも使いたければ850MHz帯を加えたクワッドバンド機が必要となるが、クワッドバンド機というとほとんどが2G(GSM)だけではなく3Gにも対応している(3GSMなどと呼ばれたりする)高機能機もしくは多機能機になり当然高価。そこで南北米だけで利用できるデュアルバンドの廉価な機器というのもある(らしい)。

名目上UMTS2100は、ほぼ全世界で使えるが、UMTS2100が使えるのは日本も含めて都市部だけ。どのくらい都市部なら使えるかというのが国に依って違う。日本の場合、JRの駅があるという程度の街なら問題無く使えるが、例えば韓国ならソウルの一部だけでしか使えない。(ただし韓国の場合前述のCDMA2000っていう3Gが全域を覆っている。)

というわけで、最近の高機能端末、多機能端末、スマートフォンなどの名前で分類される単体価格600米ドル越えの高価な機器はGSM850/900/1800/1900/UMTS2100に対応するっていうのが定番。そういう意味ではCDMA2000陣営は分が悪い。その上韓国各社と、日本のauと、北米Verizonとで、方式と周波数帯域は同じなのに周波数の使い方がそれぞれ異なる為に互換性がない。それでもドメスティックなメーカが世界市場で開発費を捻出できる韓国や利用者が全米一位のVerizonはまだまし。確かにWin端末で3Gの次世代サービスの先鞭を付けたのはauなのだが、今となっては進化の袋小路に入ってしまったように見える。

一方W-CDMAには850MHz帯を使うUMTS850という方式があり、北米とオセアニアで使われている。したがって、気の利いた台湾メーカのスマートフォンなどはUMTS850/2100対応を謳ったものもある。AppleのiPhone 3G/3GSもこの類い。ところで実はこの影にUMTS800という方式があり、これがdocomoの「何処でも繋がる」を支えているFOMAプラスエリアである。UMTS850とUTMS800では800の方が低い周波数帯域を使うような印象を与えるが、実はUTMS800で使われる周波数はUMTS850に完全に内包されるので公式に対応を謳ってはいないが、UTMS850対応だとFORMAプラスエリアで使えることが多い(らしい)。

これに加えてdocomoは一部地域では1700MHz帯という周波数帯域も使っている。この周波数帯域はe-mobileも使っているが完全な日本独自仕様である。

まとめると

  • ヨーロッパ・アフリカ・アジア(除日韓)をデュアルバンドのGSMがほぼ対応。
  • アメリカは南北ともに混沌。
  • 韓国と日本は特殊。
  • UTMS2100なら世界中の都市で対応。

ということになる。特に日本の独自性は、第2世代の独自仕様のためと世界に先駆けて第3世代の通信サービスを行ったために、キャリア主導、あえて古い名称を出すと、NTTとKDD主導で国際標準とは非互換な機能を携帯電話メーカに押し付け、国際標準とは非互換なサービスを展開してきたことが原因。これがガラパゴス携帯と呼ばれる所以である。私自身ADSLや出版の商売の仕方からソフトバンクという会社は決して好きではないのだが、そういった点で通信事業者としてのソフトバンクモバイルには大いに同情する。

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